岩手県釜石市橋野町第四十一地割

震災前取材

 

この地の小柿の木は実を結ばないという。

昔、この早栃の地で源平の戦があって、多くの人が討ち死にした。その屍を埋めて、その上に植えたのがこの小柿の木とあると云う。その人々の霊によってか、花は咲いても実はならないと伝えられる。

この時の戦いは、なかなか勝負がつかず、両軍は飯時にしばし戦を止めて飯を煮て食べた。源氏方は、早く煮えるように、鍋を低くしたがよく煮えなかった。平家方は、鍋を高くして多くの薪を燃やしたのでたちまち飯がよく出来た。今でもこの地には、「平家の高鍋」という諺があると云う。