岩手県田野畑村真木沢

2012/04/01取材

北山崎とならぶ北三陸を代表する景勝地である。高さ200m近い断崖が5列に連なっている。崖の中腹にはウミウの巣が多く見られ、名はこれに由来する。

同じ100~200mの断崖が連続する北部の北山崎は、洞門や奇岩、岩峰など地形が変化に富んでおり、それと比較して鵜の巣断崖は単調である。しかし、ほぼ規則的に鋸歯状に5列に連なる断崖は豪壮である。

鵜ノ巣断崖一帯は三陸海岸北部に見られる典型的な隆起海岸地形である。これは、一帯を構成する北上丘陵が、長い年月を経て、海岸段丘面の波食の作用を受け形成されたものである。三陸海岸北部一帯は、海流の影響などで波が荒れやすく、また太平洋に面しているため、地震活動による津波の影響も受けやすく、そのため、海岸段丘面の下部がほぼ全面に亘って削り取られたような形となっている。

また、この鵜ノ巣断崖が、ほぼ規則的に5列の連続した弓状の弧を描いているのは、比較的脆い地盤が波食の作用を受け削り取られ、その窪んだ部分に波力のエネルギーが収斂され、さらに削り取られたからと考えられている。