岩手県滝沢市湯舟沢

2013/04/28取材

この地の環状列石(ストーンサークル)は、今からおよそ4千年前の縄文時代後期に造られたもの。南北径20m、東西径15mの範囲に、さまざまな形の組石がならんでいる。

石の下からは人為的に掘られた穴が多数発見され、調査結果から、縄文時代の大規模な共同墓地と祭祀場であると考えられている。

環状列石の周辺からは、日常的な集落跡が発見されていないため、縄文時代の人々の土地利用について、墓域と住まいとを分離する考えかたがあったと考えられる。

この地の西方に谷地山がそびえており、春分の日、環状列石の中央に立ち西方の谷地山を望むと、山頂に沈む夕日を目にすることができ、当時の人々の死生観が伺える。

この地域から、八幡平市、鹿角市にかけて、蝦夷の伝説とともに、大型環状列石の遺構が見られ、それは北海道南部にかけて続いている。その変遷は、縄文時代の社会構造を知るうえで極めて貴重である。