岩手県岩泉町岩泉

2016/04/08取材

「宇霊羅(うれいら)」とは、アイヌ語で「靄や霧の多い山」を意味する。標高604mで、全体が典型的なカルスト地形の中にあり、日本三大鍾乳洞の一つ龍泉洞を山懐に抱え込んでいる。

この宇霊羅山に住んでいた巨大な龍蛇が山を飛び出し、その跡に龍泉洞ができたとする伝説が伝えられる。

また、次のような「隠里」伝説もある

昔、鍾乳洞の奥の方に隠れ里があり、26戸の人たちがひっそりと住みついていた。ところが田村麻呂将軍に追われた蝦夷の一族が、この山に砦を築いたので、平和な里も安穏ではなくなり、隠れ里の人達も、この蝦夷の一族と戦うことになった。

しかし、隠里の若者アズミと、蝦夷の酋長の娘ニーロンとは、恋仲になっていた。二人は引き裂かれ、隠里の人々と蝦夷の間で戦いは始まった。隠れ里の人々は全山に火を放ち、夷族を火攻めにした。宇霊羅山は、火の海と化し燃えさかった。戦いの中、ニーロンはアズミの名を呼びながら、山の湖に入水し、アズミもまた、あとを追い自刃してしまった。