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青森県三沢市字淋代

2013/04/25取材

この淋代海岸は、昭和6年(1931)10月、二人のアメリカ青年、ヒューハーンドンとクライドバングボーン両氏が、ミスビードル号で太平洋無着陸横断飛行に成功した時の出発地である。飛行時間は41時間13分、飛行距離は4,877マイルだった。

ミスビードル号は、翼長14.8m、長さ8.3m、エンジンは425馬力で最高速度は240kmで、出発にあたっては荷重軽減のために離陸後車輪を投下して成功を期した。目的地ウェナッチでは胴体着陸を決行した。

この飛行は、世界中に衝撃を与え、日本でも昭和7年(1932)9月、予備役海軍中佐本間清氏外2名が「第3報知日米号」によりこの地から離陸したが、千島沖で連絡を絶ち行方不明になった。

このミスビードル号の太平洋無着陸横断飛行の成功を記念して、翌年、着陸地のアメリカウェナッチ市から、5本のリンゴの木が贈られてきた。

着陸したミスビードル号の機内には、5個の紅玉リンゴがあった。これはこの淋代海岸を出発するとき、二人が宿泊していた村長の家のチヨさんが、サンドイッチや紅茶などとともに食料として渡したものだった。

ウェナッチ市から贈られたリンゴの木は、この三沢村の人々の温かい協力に感謝して、リチャードデリシャスという新種のリンゴの穂木を贈ったものだった。出発地の青森県はリンゴの産地だが、ウェナッチ市も、世界のリンゴの都といわれる有名なリンゴの産地だった。

その後、このリンゴの穂木は、黒石のリンゴ試験場で大切に育てられ、昭和10年(1935)の秋、はじめてリチャードデリシャスが実り、次々に県内に広がっていった。

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