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秋田県能代市小友下

震災前取材

 

この小友沼は 、南側丘陵からの沢の水や米代川の水を引き入れて貯水し、灌漑用の溜池として利用されている。また、渡り鳥のガンカモ類にとって国際的に重要であることが認められ、平成11年(1999)、東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワークに登録された。

この沼の近く北側に「機織」の地名があり、次のような伝説が伝えられている。

この機織に、一人のおじいさんがひっそりと暮らしている屋敷があった。いつからか、その屋敷にはとても美しい娘が住み始め、毎日機を織り、時折小友沼で織りあがった布をさらしていた。その美しさは近在でも評判となり、何人もの若者が訪ね娘に求愛したが、その都度娘は若者に出来るわけもない難題を出して、男を帰らせた。

ある年の秋の十五夜に、おじいさんは小友沼のほうからすすり泣きの声がするのを聞き、不思議に思って行ってみるとその娘だった。おじいさんが心配して声をかけると、娘は驚くことを話し始めた。

「私は月から来た人間です。罪をおかし、布を千枚織る罰を受けていましたが、その千枚目が今日できあがりました。これまで親切にしていただいたのですが、もう帰らなくてはなりません」と言う。

おじいさんはおどろき引きとめようとしたがどうすることもできず、娘はおじいさんに長生きの薬と、おじいさんの為に心を込めて織った最後の一枚の羽衣を残し天へ上っていったと云う。

機織の地名はここから起こったといい、娘が布をさらした小友沼は、布さらし沼とも呼ばれた。