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秋田県藤里町

2013/06/08取材

 

白神山地には、人為の影響をほとんど受けていない原生的地区が広大に広がっている。このような場所は日本はもちろん世界的にも珍しく、そのため1993年、法隆寺地域、姫路城、屋久島とともに、、日本で最初に世界遺産(自然遺産)として登録された。

「白神」の由来は、菅江真澄によると、残雪が「上」の地のように見え、「白い上」で「白上」と、土地の人々が読んでいたことに由来するという。

白神山地は現在でも少しずつ隆起している地形で地盤が弱く、崖崩れが多発している。そのため、林道をつくっても崖崩れのために不通になってしまう場所が多く、また、冬期間は半年も雪に覆われる。そのため、結果的に原生林が残された。

また、白神山地に多く自生するブナの木は、椎茸栽培以外にはあまり役に立たない木であったために、伐採を免れたと言える。ブナはたくさんの小さな実を付けるために、果樹と同様に寿命は200年ほどで短い。自然に放置して倒れたブナは、他の樹木や生物の生存に欠かせない栄養分を供給する。白神山地のブナの原生林は樹齢の若いもの、大木、老木、倒壊し朽ちたものまであらゆる世代が見られる。もちろんブナだけではなく、カツラ、ハリギリ、アサダなどの大木も見られる。

古くからこの地域に立ち入るものは稀だったが、時折、マタギによる狩猟が行われていた。世界遺産に指定されたことから、マタギ漁も禁止されたが、そこで生活の糧を得ていた人たちまで規制する必要があるのかどうか、今も議論はかみあっていない。

白神山地は全体としてブナの原生林を抱えた山地であり、名勝地のような美しい高山植物や雄大な景色を眺められる場所はあまり多いとはいえない。眺望がよい場所や高山植物が咲いている場所に行くためには、それなりに苦労をしなければならない。

この地を訪れる方は、それなりの準備と装備が必要である。