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山形県鶴岡市青龍寺

2013/08/18取材

この甕は、青龍寺から少し上った、金峯山本殿へ上り口の木立ちの中に鎮座している。うやうやしく注連縄が張られた高さ1.2m、直径は0.9mほどの石造りの酒甕と大杯である。酒造りは神事と縁が深いだけに、酒封じのご神体は、全国的にもめずらしい。

弘化4年(1847)、酒造に関わる人々からなる「猩々(しょうじょう)講」が、商売繁盛を願って神社に奉納したもの。猩々は能の演目にもある酒を好む空想上の生き物だが、この酒甕と大杯は、いつの頃からか、アルコール依存症や酒乱癖といった、酒にまつわる悩みを抱える人の拠りどころへと変わっていった。

禁酒を望む者は、まずは災い封じの祈祷を受け、御札と志願成就の御朱印がついた大きな白紙を受け取る。石作りの大杯をその白紙で隙間なく覆い酒を封印する。また息が詰まらないように、紙の中心には小さな穴を開け、これを3年続ければ大酒呑みが直るという。