山形県長井市横町

震災前取材

 

長井総宮神社に隣接し、遍照寺が管理する馬頭観音堂がある。

馬頭観音は、本来、衆生の無智、煩悩を排除し、諸悪を打ち壊す菩薩である。生死の大海を跋渉して四魔を催伏する大威勢力、大精進力を表す観音であるとされる。しかし、江戸時代に入ると、国内の流通が活発になり、馬が移動や荷運びの手段として使われることが多くなった。これに伴い馬が急死した路傍などに馬頭観音が多く祀られるようになり、馬の守護神としての意味合いを強く持つようになってきた。この観音堂でも近年まで、旧暦の7月に盛大な馬の祭りが行われていた。

この観音堂の本尊である馬頭観音像立像は、鎌倉時代に羽黒の運慶が彫ったと伝えらている。全身には漆が施され、衣には彩色が見られる。現在の像は、宝永6年(1709)に、旧仏像をモデルに制作されたものと見られ、面部の怒りの表情はすこぶる迫力に富み、腕の構えも力強く、衣の掘り出しも写実的である。高さは1.98mと、馬頭観音像としては山形県最大級の大きさで、昭和62年(1987)に、山形県指定有形文化財に指定されている。

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