山形県鶴岡市山王

震災前取材

松尾芭蕉は、羽黒山を下り鶴岡城下に住む庄内藩士長山五郎右衛門重行の屋敷に入った。芭蕉は三山参詣の疲れかすぐに休息したが、夜になり曾良、重行、羽黒の俳人呂丸と歌仙をまいた。
めずらしや 山をいで羽の 初茄子
はそのときの芭蕉の発句で、食膳に供されたこの地方の名産の一口茄子が目にとまってのものらしい。

芭蕉はこの地に三日間滞在し、その後この近くの内川の船着場から川舟に乗り酒田に向かった。長山重行は元禄13年(1700)に屋敷替えになったが、このあたりは今でも長山小路とよばれている。