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宮城県栗原市築館薬師二丁目

震災前取材

御弥陀羅施の池

杉薬師のある薬師山のまわりには7つの池があって、それらの池はいつも清水が湧き、たくさんのタニシが住んでいた。それらの内で、現在残るのは、この「おみだらせの池」だけとなった。

その昔、薬師山が火事となり、次々とお堂が燃え、本堂の薬師如来も危ぶまれるようになったが、火の勢いが強く、里人達にはどうすることもできなかった。その時、一塊の黒いものが、薬師の丘を這い上がり、火をくぐって薬師堂に向かって行く。焼かれても焼かれても次から次と重なり合って、薬師如来を守った。

火が収まってから里人達が見ると、真っ黒に焼け焦げたタニシが薬師堂にびっしりと張り付いていた。里人達は大いに驚き、感心し、それ以降タニシを食用にはしなくなったと云う。

人々はこれを「薬師のツブ」と呼び、眼病になると歳の数だけのタニシを池に放し、池の清水で目を洗い、眼病の薬にしたと伝えられる。