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宮城県利府町飯土井字長者…伊豆佐比売神社
震災前取材
平安時代の初め頃、奥羽地方でも名高い豪農の九門長者の邸宅があった。その時造った外堀や長者の井戸が現在も残っている。
この長者屋敷跡について次のような伝説がある。
長者の家には、多くの召使が雇われていたが、その中に悪玉という誠に醜い女がいた。彼女はもと紀伊の国の斎大納言という公家の姫君でたいへん美しく頭の良い娘であったが、伊勢参詣の帰り、悪者どもに騙され、この九門長者の召使として売られてきたのである。
そこで、彼女は自分の身を守るため、普通の人には醜い女と見え、身分の高い人にはもとの美しい姫の姿に見えるようにと守り本尊の観世音菩薩に祈願をしていた。
時の征夷大将軍である坂上田村麻呂が蝦夷征伐の折、この九門長者の家に立ち寄り彼女を見そめた。延暦18年巳年(799)、彼女は男子を出産、名を千熊丸といい、当時の人々は神童と呼んでいた。千熊丸は十三才になったとき、母とともに都へ上り、父の将軍と親子の対面をし、二代目田村麻呂将軍となったという。