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宮城県利府町利府字大町…円城寺境内

震災前取材

この地蔵はもとは岩出山にあったものが、利府の円城寺に移されたと言われている。

約300年前の昔、岩出山村に年取った百姓夫婦がいた。春になり田の代掻きをするときに、馬や牛を先導する鼻取をする人がいなくて困っていた。ある晩、どこからともなく一人の見知らぬ子どもがやってきて、「鼻取の手伝いをしましょう」という。

これは助かったと、早速次の日の朝から手伝ってもらうことになった。次の日の朝早くから子どもに手伝ってもらって、夕方、やっとのことで代掻きが終わった。二人は夕ご飯を子どもと一緒に食べようと思ったが、姿が見当たらない。一生懸命探したが、結局見つからなかった。

次の日、田んぼの地蔵堂のところを通ると、石のお地蔵様が泥だらけの姿になっていた。良く見ると、手伝ってもらった時にわたした、丸に田の字の泥のついた手ぬぐいを首にまいている。百姓夫婦はお地蔵様が手伝ってくれたことに驚き、それからは毎日、このお地蔵様に供え物をしてお参りするようになった。

このお地蔵様が利府に移されてからも、人手の足りない時にお参りすると、思いがけない人が手伝いにやってくるという。