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宮城県塩竃市新浜町1丁目

震災前取材

この曲木島は平安の昔から歌枕としても使われ、古今和歌集などにこの島を読み込んだ歌が多くある。

わがせこを都にやりて塩竃の まがきのしまのまつぞこいしき      古今和歌集 東歌

あけくれば籬の島をながめつつ 都恋しき昔のみぞなく         新勅選集 源信明朝臣

昔、この島を杜松の老木が覆っていた。この木は一木ながら三つに曲がりくねって、その形は三つの島に見えたという。曲木はここよりきたと伝えられる。

この地には次のような伝承が伝わる。

塩竈の地に蝦夷地より怪鳥が飛来し、食料を次から次と襲っては消えた。このとき塩竈神社の神様が、この島に籠り、怪鳥に矢を射たところ怪鳥の眼にささり、怪鳥は暫し湾内をくるくる廻った末桂島に落ちた。

桂島の神様はこれを自分の手柄にしようと、この矢を抜き取り替わりに自分の矢をさしたという。このため塩竃の神様から出入を差し止められたという。

桂島の人々が、塩竃神社にお参りするとき、破魔矢を受けない風習があるのは、この島を取り巻くこうした伝承によるものと思われる。