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宮城県石巻市雄勝町雄勝字小渕・呉壷

震災前取材

この雄勝の地は伊達の黒船(サンファン・ヴァウティスタ号)を建設した地と言われている。 建造の地は月浦とも言われているが、雄勝には伝承、痕跡が豊富に存在し、小淵と呉壺がその比定地と考えられている。

このサンファン・ヴァウティスタ号建造については記録が非常に乏しい。これは恐らく当時、すでに切支丹禁令が出ており、遣欧使節が戻ってきたときには、伊達藩も切支丹に対しては過酷な処分を実施せざるを得ない状況だった。また大船の建造も禁止される方向にあった。このような状況が、サンファン・ヴァウティスタ号の建造の記録が少ない理由だろう。

サン・ファン・バウティスタ号の大きさは推定300トンはある。当時の日本では超大型船であり、船底が平底の和船とは異なり、喫水も深い。このような船の建造には、「船渠」 (ドック方式) の造船工法が必要で、この「ドック方式」の可能な条件をこの雄勝は満たしているという。

  • 前面の海が深く、遠浅でないこと
  • 周囲が山で囲まれ風の影響を受けにくい
  • 船を押し出す流量、流速を確保できる河川が存在する
  • 木材が入手しやすい地理的条件を有している
  • 比重が重く、加工が可能なバラストが付近で採取できる

などがそれにあたるという。