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宮城県栗原市花山字本沢温湯

寒湯(ぬるゆ)番所は、仙台藩領内の27ヶ所の御番所の内の一つで、仙北御境目寒湯番所と称した。仙台藩領から一迫川渓谷に沿ってすすみ、秋田県境の鞍部を通り、秋田藩雄勝郡に通ずる「花山越え」の要衝に置かれている。

表門は街道をまたぐ茅葺切妻造四脚門で、安政2年(1855)に設置された。門の6本の柱は一尺角のケヤキ材で、釘を一本も使わないくさび止め工法で造られており、棟には伊達家の紋が配され、両端には般若の面が見られる。

その正面に関所守が常駐し関所手形を検する検断所の跡がある。その奥には関所守の居宅である桁行23.19m・梁行11.86mの二階建の大規模な役宅が現存する。何れも幕末の建築であり、御番所は明治の廃藩置県に伴い廃止されたが、関所遺構として残存するのは全国的にもめずらしい例であり、きわめて貴重なものとされており、昭和38年(1961)には国の史跡に指定されている。

検断所跡には樹齢400年のしだれ桜や樹齢310年のトチの木があり、しだれ桜は今でも花を咲かせている。