宮城県気仙沼市台

 

この地の大きな岩の下は渕になっており、昔は人の背も立たないほどの深さだった。

昔、ある熱い夏の日、清左衛門の馬があまりかせいだので、ろくろ(足のひざと蹄の間)を痛めてしまった。冷やすと治るので、この渕に連れてきて、痛めた足首を水に入れ、冷たい水で冷やさせていた。

清左衛門がうとうとしていると、いつのまにか河童が渕から出てきて、馬のたづなを自分の体に結わえて、渕の中に引きずり込もうとしていた。馬は驚いて駆け出し、馬を渕に引きずり込もうとしていた河童は、馬が逃げ込んだ清左衛門の家の馬小屋に、逆に引きずりこまれてしまった。

清左衛門の家では馬がひとりで走ってきたので、馬小屋に様子を見に行くと、馬がおびえた様子でふうふう言い、馬桶がひっくり返っていた。馬桶の蔭を見てみると河童が隠れていた。近所の人が、いたずら河童をこらしめようと大勢集まってきた。河童は逃げられないと観念して、何度も謝った。人々は河童に、今後悪さをしないように約束させて許してやったという。

それ以来、この渕を「ろくろ渕」と呼ぶようになった。

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