岩手県盛岡市中ノ橋通一丁目

2012/05/16取材

この建物は旧九十銀行本店本館として明治43年(1910)に竣工した。構造は煉瓦造2階建(一部地下1階)で、建物面積は264.61㎡。正面から見て左右非対象の建物で、屋根はマンサード型を基本とし、正面左側は棟を直交させて飾り棟をのせ、ドーマー窓を飾り、天然スレート板及び銅板で葺かれている。

建物の荒削りな隅石や入口、窓のアーチなどの石材は、盛岡市内川目産の花崗岩が使用されている。明治期の銀行は、営業室を高い吹き抜けとするのが主流だったが、ここでは2階に広い総会室を設け、1階を営業室、客溜、金庫室、頭取室及び応接室としている。

大正期の表現主義建築の先駆けとされ、外観は重厚感のあるロマネスクリヴァイヴァル様式、内部は直線的で平明かつ簡潔なゼツェッシオン式の影響がみられ、19世紀末の欧州での建築運動をいち早く反映させたものとして、我が国の近代建築史上重要な建造物と言える。

国重要文化財に指定されており、現在は「啄木・賢治青春館」として利用されている。