震災前取材

岩手県住田町世田米字世田米駅

 

伊達藩には、120余りの宿場町があった。その中でも世田米は、内陸の水沢と沿岸部の大船渡を結ぶ盛街道の主要な宿駅であり、内陸部からは米、麻布、魚網など、沿岸部からは塩や海産物が運ばれ、その交換所として大変賑わった宿場だった。現在も世田米町通りの字名に「駅」が残る。

世田米は火災が多く、伊達藩中でも有名であった。火災から貴重な物品を守るためか、駅への他国人の出入りが激しかったためか、町の裏手に蔵を置き、大きい蔵、小さい蔵、豪華な蔵、質素な蔵と川沿いに軒を並べている。このように、川辺に数多くの土蔵が並ぶ風景は、全国的にも珍しい。