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福島県猪苗代町字綿場

 

明和9年(1773)、不動尊を信仰していた平三郎なる者が目を患っていた。ある晩、夢の中で、滝の上に二人の童子が現れ、「頭無というところに不動明王を祀れ」という霊夢を見た。

平三郎は、さっそく山を越え、谷を渡り、草木をかきわけてたずねたところ、この地に行き着いた。まさに霊地で、深い林の中に水量豊かな滝があった。

平三郎は、この地に不動尊像一体、童子像二体を祀ったところ、たちまち眼病は平癒したという。

以来、近郷近在の者がこれを聞きつけ、信仰するものが多く、特に目を病む人々が滝の水で目を洗い、滝の水を持ち帰る人々の姿も見られる。当時は、いろりで炊く火で、屋内に煙が充満し眼病にかかりやすかった。この地の近くに住んでいた野口英世も、家族とともに時々訪れ、水を持ち帰っていたという。

戦時中は、弾丸除けの不動尊として、出征兵士や家族の参詣者も多かったと伝えられている。