福島県猪苗代町磐根字硯石

 

弁慶の硯石は、猪苗代町と磐梯町の境にある土田地区にあり、かつてはこの地を旧二本松街道が通っており、「ごぜのすりあげ はぎたの峠 のぼりつめたが硯石 」と詠われ、この辺で一番標高の高い場所にある。この地区にある巨石のいくつかには、それぞれ伝説が伝えられている。

この「弁慶の硯石」はその内の一つで

源義経主従が、兄頼朝に追われ奥州平泉に下る途中、この地の美しさに心を引かれ、その景観を賞するため、弁慶がこの石を硯のかわりにし、墨をすったと云う。

また、次のようにも伝えられる。

義経主従がこの地まで来た時には、すでに金も食料もなくなり、この地の長者から借金をし、その借用書を書くためにこの石で墨をすったと伝えられる。

この硯石の水は常に涸れたことがなかったが、明治になってある人がこの石の隅を壊してしまい、今では水がたまらなくなったと云う。