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青森県八戸市大字妙字丹内

2013/10/07取材

昔、この近くに侍が住んでいた。あるときその妻が、村の子供たちが白い大きな蛇をいじめているのを見て、子供たちをしかりその蛇を助けた。

その後まもなく、戦が始まり、侍の夫は戦に出かけて行った。妻は夫の無事を祈り、毎日この丹内の薬師様に願掛けに通った。やがて戦は終わったが、夫は左眼に矢を受けて大怪我をして帰ってきた。矢じりは眼に刺さったままで、苦しむ夫の姿を見て、妻は嘆き悲しみ薬師様に必死にお願いをした。

ある夜、夢枕に薬師様が立ち、「私は以前お前に助けられた白蛇である。薬師堂の下から湧いている清水で、夫の眼を洗いなさい」と告げた。夫にその話をして薬師堂に連れて行き、言われた通りに夫の眼を洗うと、驚いたことに夫の眼から矢が抜け、元通り見えるようになった。

その後、村人たちは、この薬師堂の周りにいる蛇は、左眼がみな潰れていることに気付き、「白蛇が侍の身代わりになったのだろう」と語り伝えたと云う。