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青森県上北郡おいらせ町東下谷地

2013/04/25取材

樹高約32m、周囲約16mで樹齢は約1100年以上とされ、現在は日本一の長寿の銀杏と云われている。

気根が乳房のように垂れ下がり、古くから母乳不足の母親が乳がでるように祈れば、その願いが叶う霊樹として伝えられ、安産の守り神として信仰されてきた。

この大銀杏には、慈覚大師に関わる伝説が伝えられている。

昔、慈覚大使が仏の道を説きながら諸国を行脚し、恐山へ向かうため通りかかった。大師はこの地の川のほとりの小高い丘に腰を下ろし一休みし、杖にもたれて沖の景色を眺めていたが、旅の疲れに、ついうとうとと寝てしまった。

夕刻まで寝込んでしまい、これは遅くなったと立ち上がろうとすると、イチョウの杖に根が生え動かなくなってしまっていた。大師は不思議なこともあるものだと思い、このいきさつを記した紙片と、1体の不動尊像をその場に置いて立ち去ったと云う。

それから数百年の年月が流れ、若い母親が生まれたばかりの赤ん坊を背負ってこのイチョウの木の下を通りかかった。長引く飢饉のため、この母親は食べるものもなくお乳も出なくなってしまった。

空腹で泣く赤ん坊のために、せめて水を飲ませようと井戸を覗くと、銀杏の枝がお乳のような形で映っていた。母親は銀杏の木に「私のお乳の代わりにこの子のお腹を満たしてください」と祈ると、いちょうの葉がばらばら落ち、赤ん坊は母親のお乳を美味しそうに吸っていたと云う。