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青森県むつ市大畑町

2012/07/10取材

 

 

 

 

恐山は、カルデラ湖である宇曽利(うそり)湖を中心とした外輪山の総称である。外輪山は釜臥山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山、剣の山、地蔵山、鶏頭山の八峰で構成されている。

恐山の最後の噴火は1万年以上前と見られているが、今もカルデラ内の一部には水蒸気や火山性ガスの噴出が盛んである。この火山活動が、火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景や、宇曽利湖の「極楽浜」などの独特の景観を形成し、高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場の一つになっている。

開山は貞観4年(862)、天台宗を開いた最澄の弟子である慈覚大師であると伝えられる。大師が唐に留学中、「汝、国に帰り、東方行程30余日の所に至れば霊山あり、地蔵大士一体を刻しその地に仏道を広めよ」という霊夢を見た。大師は帰国後すぐにその霊山を探し歩き、苦労の末、この恐山にたどり着いた。この地には、地獄をあらわすものが108つあり、全て夢と符合した。大師はこの地こそ霊夢の地と考え、6尺3寸の地蔵菩薩を彫り、これを本尊として安置したとされる。

その後、康生2年(1456)の蛎崎蔵人の乱の際に、恐山は蛎崎氏を助勢したために南部氏により焼き払われ、一時廃寺となったが、享禄3年(1530)、田名部円通寺の宏智和尚により再興された。

地蔵菩薩の「地蔵」とは、「大地」と「母胎」をあらわし、大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々をその無限の大慈悲の心で包み込み救うと信じられ、一般的には「子供の守り神」として信じられている。

霊場恐山は、この地蔵信仰を背景にした死者への供養の場として知られ、この地方では「人は死ねば、その魂はお山に行く」と言い伝えられている。恐山大祭や恐山秋詣りには、イタコがテントを張り、死者の霊を自身に乗り移らせてその言葉を伝える「口寄せ」が行われている。