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秋田県湯沢市皆瀬子安

震災前取材

 

小安は、陸奥と出羽の境近くの山間の集落である。この地の温泉は古くから知られ、昔、 木こりが、山中の泉でカモシカが足の傷を治しているのを見て温泉を発見したとか、片足を折った鶴が、足を温め、十日間で治り飛び立つのを見て温泉を発見したなどの伝説が伝えられる。

付近には院内銀山があり、銀山を見回りに来た佐竹藩士が供を連れて訪れるなど、多くの人々で賑わった。また、佐竹藩主や、佐竹南家の奥方が100余人の供連れで入湯したなどの記録が残されている。

この地では、温泉が吹き上がる大噴湯も見られ、文化11年(1814)、菅江真澄がこの地を訪れ、この大噴湯を克明に記録している。

戊辰戦争の際には、この小安口から仙台勢1千人が横手に侵攻し、また東北諸藩の降伏により撤退を余儀なくされた仙台勢3千がこの地を通り仙台領へ撤退した。村人たちは、その都度右往左往して逃げ隠れた様子が記録に残っている。