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秋田県湯沢市高松

震災前取材

 

古くは羽州の通融嶮と呼ばれ、日本三大霊地の1つでもある川原毛地獄から流れ出す川は、三途川と呼ばれており、川原毛地獄の入り口に三途川橋がかけられ、三途川渓谷を眺めることができる。

三途川とは、この世とあの世を隔てる境目にあるとされる川で、川を渡るのに三通りの方法があるのでこう呼ばれているとされる。善人は、金銀七宝で飾られた橋を渡ることができ、罪の浅い者は、水が膝を越さない浅瀬を渡ることができる。しかし罪深い者は、鬼に捕らえられて、深いところに投げ込まれ、そこを渡らなければならないと云う。

また三途川は渡し舟で渡るとも云われ、そのとき渡し賃が6文必要で、それを持たない者は、奪衣婆から渡し賃の代わりに着物を剥ぎ取られると云う。そのため、死者を送るときに、棺に小銭を入れる風習がある。

川原毛地獄の参詣に訪れた者は、この川をこの世とあの世の境の川と感じ、敬虔な気持ちで渡ったのだろう。渓谷にかかる三途川橋は、渓流から約40mの高さにあり、断崖絶壁が川原毛地獄に続いている。

橋の両端には、上りの方向には閻魔(えんま)大王、泰山(たいせん)大王が、下りには延命地蔵と合掌地蔵の4体の石像が鎮座している。