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秋田県横手市平賀町浅舞字浅舞

震災前取材

 

横手の平鹿地区には、多くの湧水地が点在している。中でもこの浅舞の中心部の琵琶沼は、多くの湧き水を源とし、古くは「藤沼」と呼ばれて、いつ頃からか「琵琶沼」と呼ばれるようになった。文政8年(1825)この地を訪れた紀行家の菅江真澄は、その著書「雪の出羽路」のなかで、沼の形がちょうど琵琶のようであることから「琵琶清水」と名がついたようだと記述している。

この地の清水は古くから人々の生活に密接にかかわっており、生活用水、農業用水としてはもちろんだが、「浅舞正藍染」「浅舞絞り」などの染色業や酒造業を発展させてきた。かつてはこの地には染め屋12軒、酒屋12軒があり、この地の重要な産業だった。

この沼には、この地で「ハリザッコ」と呼ばれる、トミヨとイバラトミヨという2種類のトゲウオが生息している。このトゲウオは、氷河期の生き残りと云われ、体長は5~6cmで、雄が巣を作り、卵や稚魚を守るという特異な習性を持っている。背びれ、腹びれ、尻びれにトゲがある。平成10年()に、「トミヨ及びイバラトミヨ生息地」として秋田県天然記念物に指定された