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秋田県能代市長崎

震災前取材

この沼は、坂上田村麻呂が、蝦夷の砦を水攻めにするために、三頭の竜神に造らせたものと伝えられる。

また次のような伝説も伝えられる。

昔、この沼の付近で、時折一人の美しい娘の姿を見かけるようになった。この地の人たちは、その娘を虎子姫とよんでいたが、その素性を知っている者は誰もいなかった。しかしそれでも、虎子姫を見たという噂の多い年は、きまって豊作になった。

いつしか里人たちは、この虎子姫は作物の神様だという噂が立ち、祠を置き豊作を祈り、姫を大切に見守るようにして、沼の側には近づかないようにしていた。

ある年、代官様が家来を連れてこの地へ狩に来ると、大きな牝狐を討ち取った。それからは虎子姫を誰も見なくなり、その秋は大凶作に襲われて飢え死にする者さえでた。

里人らは「あの牝狐は虎子姫だったのではないか」と噂するようになり、沼のそばに虎子姫稲荷を建てて祀るようになったと云う。