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秋田県北秋田市鎌沢…正法院

2013/08/19取材

 

この正法院境内の大仏堂には、丈六延命地蔵と呼ばれる一丈六尺(約4.8m)の木彫坐像が安置されている。

運慶一門の仏師蔵之丞了慶が頭部を造り、その地蔵尊の首を背負って修業の途中この地にたどりついた。しかしにわかに重くなり、これ以上背負うことができず、この地に草庵をむすび、篤志家よりひろく浄財を得て、弟子が躰部を造りあげこの地蔵尊を完成したという。

堂内の天井には篤志家が寄進した高名な画家江岸の傑作、龍の絵が威厳に満ちた彩りを添え、雅な文化に縁遠いこの僻遠の地の人びとから丈六地蔵と共に神秘不可思議とされ、信仰を集めた。

この地では、元禄、宝永、天明、天保と飢饉が続き、また疫病が蔓延して連日のように瀕死者が相次いだ。寺の檀信徒たちは、この大仏殿に籠り、熱心に祈祷すると、地蔵は人びとの祈願に応えるかのようにたちまちに玉のような汗を流した。大仏殿にお籠りををした人たちは誰一人として罹病しなかったと伝えられ「汗かき地蔵」とも呼ばれている。

また戦争中、出征前にこの大仏に参詣した人たちは無事に戦地から帰ることができたことから「弾丸よけ地蔵」とも呼ばれている。