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2022年8月の、中国の台湾に対する露骨な軍事圧力に対し、南シナ海に空母打撃軍を配置し、台湾海峡には、イージス駆逐艦を送り航行させ、その後も哨戒機や潜水艦を送り込み、中国の航空機や艦艇の移動などの情報を集めていた。それでも、中国は強い口調で抗議はしても、具体的な軍事的な対抗策をとってくるわけではなかった。

すでに南シナ海の人工島には、発電施設やレーダー施設などが建設され、ファイアークロス礁とスビ礁の人工島に、SU21の戦闘機部隊と、ミサイル部隊が配備された。これに対してアメリカはもちろん、日本、ベトナム、フィリピン、オーストラリアなどは強く抗議したが、中国の返答はこれまでと同様の木で鼻をくくるような対応で、それはその後も変わることはなかった。

20XX年9月、アメリカは台湾有事もにらみ、日本やオーストラリアにも働きかけ、南シナ海から東シナ海にかけて軍事訓練を行うことを決定した。アメリカからは横須賀の「ロナルドレーガン」を中心にした第7艦隊が、日本からは、ヘリ空母「いずも」とイージス艦「こんごう」を中心とした、第一護衛隊と第五護衛隊の混成艦隊が参加することになった。

訓練とはいえ、いつ中国軍から攻撃をうけるかもしれない状況の中、フィリピンのバラワンとう南側から、中国の主張する9段線内に入り、フィリピンが主張している領海線のフィリピン側を通り、南沙諸島を突っ切る予定だった。途中、南沙諸島周辺では台湾海軍の「成功級」フリゲート艦も1隻参加することになっており、これは特筆すべきことだった。

9段線内に入ると、中国軍のSU21が飛来し、警告し、あるいは威嚇し、それに対しアメリカ軍機がロナルドレーガンから飛び立ち、各艦艇の対空レーダーが中国軍機に照準を合わせ、それは現実に火器を使わないだけの実戦そのものだった。時には中国軍機がアメリカ軍機をロックオンするなどの挑発もあったが、とりあえずは実際に戦火を交えるまでは至らなかった。

日本の艦艇群は、主に中国の潜水艦群に対していた。中国の潜水艦は静粛性が低く、ドラを鳴らしながら航行している様なもので、出港と同時に捕捉され、図上ではすでに幾隻も撃沈されていた。アメリカも日本もオーストラリアも、中国の内部崩壊を狙い、その「戦果」を意図的に流していた。

この時点で中国は、南シナ海一帯を、不法に一大軍事基地化しており、アメリカは、この訓練で中国の内部崩壊を狙っており、もし中国が実際に攻撃してくるようなことがあれば、南シナ海の軍事基地を徹底的に叩くつもりでいた。そしてついにその時は来た。

艦隊がスビ礁周辺海域に差し掛かったとき、スビ礁とファイアークロス礁、周辺海域の中国艦艇から、対艦ミサイルが発射された。さらに中国が「空母キラー」として開発していた対艦弾道ミサイルが中国本土から発射されたのが探知された。ミサイル総数は50基にものぼったが、艦隊は直ちに迎撃体制に入り、次々に打ち落として行った。本土から発射された対艦弾道弾は、思ったより速度が遅く、軌道の推定も容易で、以外にあっけなく打ち落とすことができた。

しかしそれでもアメリカのミサイル艦一艇と、台湾のフリゲート艦が犠牲になった。台湾艦艇はもともと旧式で、ミサイルに対しての防空能力は低く、それでも撃沈されるまでの間に対艦ミサイルを全弾撃ちつくし、中国艦艇一隻を撃沈した。

アメリカ艦艇からは、ミサイルの発射地点に対して、次々に巡航ミサイルが発射され、ロナルドレーガンからはF-18が次々に飛び立っていった。日本のいずもからは対潜ヘリが飛び立ち、中国の潜水艦を葬っていった。またフィリピンのクラーク基地からはB2爆撃機が飛び立ち、中国本土のミサイル基地をつぶしていった。

この一連の戦闘で、中国軍は完全に沈黙した。しかしこの戦乱は、実は始まったばかりだったのだ。