2009/10/03取材 岩手県金ケ崎町

 

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歴史散策⇒金ケ崎城跡

岩手県金ヶ崎町の金ヶ崎城跡に行った。この地は、江戸時代には伊達藩の北限の地で、「小説・蟠龍…」では、南部領へ侵攻する出撃拠点として考えた地だ。金ヶ崎町に入ると、武家屋敷が並ぶ一画に入り、そのたたずまいを楽しみながら城跡を探した。

ほどなく案内板を見つけた。城は平城で、城跡は畑と住宅地になっており、城跡らしき雰囲気ではない。案内板を頭に入れて城域に入った。二の丸跡が畑地として広々と広がる。北側には北上川が流れ、断崖になっている。本丸があった東側に進む。小さな畑地があるだけで、本丸跡らしい平場はない。北上川に断崖が落ち込み、かつて流失してしまったらしい。

二の丸跡に戻り、南側にあったはずの水堀跡を探してみた。しかし畑地と住宅地が入り込んでおりその様子が今ひとつつかめない。近くの畑で作業している方に尋ねたところ、詳しく教えていただいた。すると、それまでなにげない窪地であったものが水堀に見えてくる。住宅地のなにげない路地が、大手門に通じる大手道に見えてくる。

俄然勢いを得て、二の丸から本丸の南側周辺をまわり始めた。荒れた雑木林の中には土塁が残り、二の丸西側は深い空堀状の沢が、南側の水堀は埋め戻され道路になっているが、その土塁から見れば、結構堅固な水堀が回っていたようだ。

人間は不思議なもので、なにげなく見ているうちは見えないものが、地元の方のほんの少しのアドバイスだけでも、かつての姿が幻出して来る。ひとわたり周囲を歩いた後は、住宅地と畑地が多くを占める「金ヶ崎城跡」は、もはや北側を北上川の断崖に守られ、南側を水堀と土塁で堅固に守られた要塞の地になっていた。小説では、ここから伊達の南部攻略が始まるのだ。