2010/03/08取材

 

歴史散策⇒竜馬山

早朝の神室山を臨む雪原で、贅沢な静寂さを、一人ばたばた乱してしまったが、それでも気持ちは日の出の朱に染まった大気を吸い込み、充実した暖かさに満ちていた。すでに雪原は本来の純白にかわり、おだやかに広がっていた。

この地への途中、日の出前の明るさの中で見つけていた竜馬山のポイントへ移動した。間近に見る竜馬山は、考えていたほどには雪を被ってはいなかった。その急峻な岩場は、厳冬期の雪をも寄せ付けず、麓に黒々と針葉樹の林を抱え屹立していた。ゆるやかな波のように広がる白い雪原の中に、雄大に聳え立っている。

この地の古代の名称の「ひらほこ」は、先住民の蝦夷が、切り立った岩場を表す言葉から来たともいわれ、その後も長く、神室山とともに畏敬の念を持って仰がれていた。そしてその畏敬の念は、この地に竜馬が棲むという伝説を生み、今もその竜馬を見たという話が伝えられる。

おそらくは、白い竜馬は、この日のような晴れた早朝に、切り立った岩場に吹き付ける強い風の中、白い雪を竜巻のように巻き上げ天に上るのだろう。

日はすでに高くのぼり、空は青く澄み渡り、雪原は白く波打っている。早朝の日の光はわずかに赤みをおび、竜馬山の岸壁はやわらかい日差しで覆われている。一通り写真は撮り終えた。白昼の光の中で、また夕暮れの光の中の竜馬山も収めたかったが、そういう訳にもいかない。後ろ髪を引かれる思いで竜馬山を後にした。

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